再生可能エネルギーの固定価格買取制度などの普及促進政策により、導入量が増えている太陽光発電ですが、その増加に伴い、多くのトラブルが報告されています。
NPO法人太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)は、こうしたトラブルやその解決策をまとめたレポート「太陽光発電の普及・促進の影で」を公開しました。
レポートの概要については以下の通りです。

<野立ての事業用太陽光発電施設は住民や景観等に配慮した法改正を>
野立ての事業用太陽光発電施設の建設には、開発許可等が不要であったりするため、チェックや監視の目が届かず、地域住民不在の状態で進んでいる場合もあり、建設後に光害・騒音・電磁波(ラジオノイズ)が問題になる案件もあるとのことです。
開発許可が必要であれば、周辺住民への説明義務が生じるため、周辺環境への影響などについても質疑回答等が行われる可能性は高くなります。
そうでなくても、トラブルが報告されている現状では、最低限、周辺への説明を義務づける措置は必要であると思われます。
既に一部の自治体では地元協議を義務付ける規制や住民に与える影響と景観等に関する規制も始まっているようですが、レポートでは、関係省庁と自治体が協力して現状調査を行い、法や条例等に不備・不足があれば早急に改正の検討を行うことを強く要望しています。

<住宅用太陽光発電システムは「電気が売れない」電圧上昇抑制対策を>
太陽光発電システムで電力会社の系統側へ流すには、電力会社からの供給電圧より電圧を高くする必要があります。
電圧上昇抑制とは、電力会社からの供給電圧がパワコンよりも高電圧となり、電気の移動が起きないために「電気が売れない」という事態になることをいいます。
日々の発電量をチェックしていないと気づかないケースも少なくなく、そうした場合、設備に不具合がないにもかかわらず、知らないうちに損をしているということになります。

レポートでは、住宅用太陽光発電システムにおいて、電力会社からの供給電圧の制度改正、系統連系保護装置認証基準の改定、電圧上昇抑制の早期発見に向けて注意を喚起することなどを要望しています。
また、産業用太陽光発電施設から送電される電力の電圧変動が同じ幹線に接続されている住宅用太陽光発電システムに対して影響を与えた結果、電圧上昇抑制が起きる可能性があることから、産業用太陽光発電システムに対して何らかの規制を盛り込むこと等を提案しています。