和歌山県は、県内橋本市にあるダイオキシン類汚染の無害化処理対策を講じた産業廃棄物処分場跡地において建設が進められていた国際航業の太陽光発電所「和歌山・橋本ソーラーウェイ」が完成したと発表しました。
発電出力は714kW、年間発電量は一般家庭の約200世帯分、CO2削減量は年間428tを見込んでいるとのことです。

この処分場跡地ついては、約20年前に産廃業者が焼却炉を使わず野焼き等により不法に廃棄物を処理していたため、土壌がダイオキシンにより汚染されたという事例になります。
地元住民の陳情などにより、同県が汚染された土壌をコンクリートで封入するなどの対策を講じましたが、土地を掘削することができないため、工場や学校などの建築物を建設するのは不可能という状態でした。
広場として利用するという案もありましたが、この土地におけるマイナスイメージが大きいために人が集まる場所としては適さないなど、これも実現が難しいものでした。

そこで、専門家や地元住民との話し合いにより、全国的に自然エネルギーに対する関心が高まっている中、豊富な日照時間が期待できる同県の特性を活かして、処分場跡地に太陽光発電所を誘致するという案が固まり、同県は、昨年、同地に太陽光発電所を設置する事業者を募集しました。
その募集において、国内外でメガソーラーの開発に注力する日本アジアグループ傘下の国際航業が事業者に選定され、太陽光発電所の建設に至りました。

通常、ソーラーパネル架台の基礎については地中に埋め込む形になりますが、今回の工事ではそれができないため、地盤に直接置くだけですむ基礎架台(置き基礎)が採用されています。

土地におけるマイナスイメージを自然エネルギーにである太陽光発電の導入によってプラスのイメージに変えるという試みになりますが、今後の動向が注目されています。
これが単に遊休地の有効利用というだけの事例になるのか、あるいは積極的な取り組みによってプラスイメージにつなけることができるのかは、事業者と同県の今後の取り組みにかかっていると思われます。
これが成功すれば、同様の問題をかかえた土地に対する施策として全国に広まっていく可能性もおおいにあると思われます。