東京消防庁は、太陽光発電設備の設置が急速に進んでいることを踏まえ、太陽光発電設備に係る建物へ求める防火安全対策と、消防隊の消火活動中の感電防止対策について検討を行い、その結果を防火安全対策の提言として発表しました。
同検討部会において、検討された項目と結論は下記の通りです。

1.PVモジュールの燃焼性状の検証
太陽光発電設備に係る火災は、PVモジュールが出火原因のものはほとんどなく、接続箱、パワコン等から出火するなど通常の電気火災と同様である。
太陽光発電パネルは延焼せず、1m以上離すと重大な熱的影響は与えない。
燃焼しているPVモジュールから人体に影響を及ぼす有毒ガスが発生することはない。

2.規制場所へのPVモジュールの設置
消防法令では消火用高架水槽や屋上の変電設備など、屋上設備と建築物等の間での延焼を防ぐため、また屋上設備へ重大な火災の影響を与えないため、離隔距離が定められているが、PVモジュールの場合、1m以上離すと重大な熱的影響を与えないため、高架水槽等との離隔距離における規制が緩和可能である。

3.消防活動の安全を確保したPVモジュールの設置方法
建築基準法において、建築物の3階以上の階には消防隊が建物内部に入るための非常用進入口の設置が定められているが、この周辺に壁材・窓材一体型のPVモジュールが設置されていると、消防活動に支障をきたす恐れがあるため、非常用侵入口等の周囲には設置しない。
また、屋外階段についても同様の措置をとる。
PVモジュールの設置面積が300平方メートル以上の大規模屋根とそれ以外に分け、屋根上に「PVモジュールを設けない部分」を確保することが望ましい。

4.防火対象物に求める感電防止対策

PVモジュールからパワーコンディショナまでの間の直流電流が流れている区間には感電防止対策のため「太陽光発電機器」を明示する表示を行うべきである。

太陽光発電があまりにも急速に普及したため、消防における対応が後手をとった状態になっています。
単に「燃えにくい」というだけでなく、消防活動のことまで考慮するとなると、設置状況もケースバイケースなので、しっかりとしたマニュアル作りが必要になります。
ただ、太陽光発電システムについては、次から次へと新技術の導入や新しい試みの実施があるのが現状なので、広く行き渡る前のなるべく早い段階での消防との連携が望まれます。