世田谷区では「世田谷区地球温暖化対策地域推進計画」を策定し、再生可能エネルギーの促進に取り組んできましたが、その一環として、公共施設の「屋根貸し」による太陽光発電事業において、公募型プロポーザルで区内の事業者を募集しています。
対象となる公共施設はいずれも共同住宅で、区営上祖師谷一丁目第二アパート1号棟(505平方メートル)、同2号棟(276平方メートル)、区営八幡山三丁目第二アパート(576平方メートル)の三棟となっています。
3棟はRC造3階建てで陸屋根となっており、うち2棟は1階に集会所があります。
全国各地の自治体で屋根貸し事業の導入が本格化してきているようです。
提案する事業計画には以下のような要求があります。
1.使用料を年額100円以上(税抜)/使用面積1㎡とすること
2.使用面積は、発電設備の配線・附帯設備・設置間隔を含め算定すること
3.使用期間を最大で20年とすること
3棟が建設されたのは昭和60~61年で、ここで注目される点としては、新築からすでに27年以上経過している物件が対象となっている点です。
太陽光発電システムの使用期間が20年となっているので、使用期間満了時には筑後50年近くになっていることになります。
今回の対象物件については、当然、耐震診断、それに基づく耐震改修が行われたものと思われますが、太陽光発電システムの耐用年数より建物の残りの耐用年数の方が短い可能性もあり、建物の選定には多少の疑問があります。
今回の案件については、世田谷区のスタンスはあくまでも屋根貸し事業というものになっているようです。
ただ、今後の太陽光発電の展開のことを考えると、今回のケースのように老朽化した建物の場合、太陽光発電システムの実効性のみを考慮するのではなく、建物と太陽光発電を総合的に捉える方向に進んでいくことが望まれます。
既存建物への太陽光発電システムの導入のさらなる普及には、太陽光発電による古い建物の再生というテーマが重要になってくるものと思われます。