固定価格買取制度の開始により太陽光発電事業が活性化する中、建物所有者が発電事業者に屋根を貸して太陽光発電の設置につなげる「屋根貸し」という設置手法・事業への関心が高まっています。

東京都は、太陽光発電の「屋根貸し」を推進するため、屋根の賃貸借契約書モデルの作成・公開など、マッチングの実効性を高める新たな取組みを展開していくと発表しました。
これは、昨年度に試行的に行った屋根の借り手と貸し手を結びつけるマッチング事業を踏まえての取り組みとなっています。
自治体の公共施設の屋根利用が増加する中、民間施設の屋根利用を自治体が後押しするという点が注目されます。

昨年度の試験的なマッチングにおいては、次のような課題が指摘されています。
1.賃料において、発電事業者及び建物所有者の間で折り合いがつきにくい。
2.「屋根貸し」という新たな方式に関する契約方法が確立していない。
3.20年程度という長期間において、安定的に貸付がなされることの担保が不十分である。
今年度は、これらの課題の解決も含めた上で、新たな取組みも展開しながら事業を進めていくとのことです。

この中で、発電事業者が「屋根貸し」事業への参入の際のハードルを下げるとともに、建物所有者が屋根を貸す際の不安を取り除くため、発電事業者と建物所有者との間で検討・調整すべき条項を盛り込んだ賃貸借契約書モデルを作成・公開することとしています。

契約書モデルに盛り込むことを想定している条項の主な例として、「賃料の計算方法」「停電時における非常用電源としての活用」「建物の所有権変更に伴う措置」「契約期間後の太陽光発電システムの取り扱い」などがあげられています。

太陽光発電事業への参入が相次いでいますが、近いうちに競争が激化し、その結果、事業者の淘汰が起こるであろうことが予想されます。
万が一屋根を貸した事業者が倒産した場合、設備の撤去・現状復帰などはどう担保されるのか、などの問題もあります。
海外では、大手太陽光発電事業者の倒産も珍しいものではなくなっている現在、こうした問題への備えも充分に考慮する必要があると思われます。