太陽光発電のように自分でエネルギーを創り出す住宅は「創エネ住宅」と呼ばれており、ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)の標準化に向けて普及が進んでいます。
2012年度より、大手ハウスメーカーやデベロッパーを中心に、創エネ機器や蓄電池やHEMSなどを採用したスマートマンションの発売が相次いでいます。
そして、政府が2030年までに新築住宅での標準化を目指している年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロとするZEHの発売もこれに続いています。

富士経済の調査によると、2012年度の「創エネ住宅」は前年度比49.8%増の42.4万戸が建設されており、累計では、160.3万戸となっています。
2012年度の内訳としては「創エネ住宅」の96%が太陽光発電システムを設置する住宅とのことです。
この数字からも、太陽光発電の導入が急速に進んでいることが分かりますが、これは、電力不足の懸念による節電意識の向上に加え、固定価格買取制度の開始の影響が大きいと思われます。

また、同社の予測では、2025年度累計では、「創エネ住宅」は1,176.2万戸で普及率は23%となっています。
つまり、2025年度には4戸に1戸は太陽光発電が導入された状態となり、太陽光発電の累計設置件数は1,000万戸を突破すると予測しています。

ZEH実現のためには、省エネだけでなく創エネが不可欠で、2025年度には創エネ住宅が年間100万戸を突破すると予測されるとのことです。
家庭用CHP(エネファーム、エコウィルなど)の設置も拡大し、創エネ住宅数に占める割合も2012年度の8%から2020年度には24%へ、そのうち太陽光発電と併設するW発電も4%から10%に拡大するという予測がされています。

元々省エネ志向の高まりはあったのですが、これに原発の稼働停止によるエネルギー不足の危機感と、その対策としての政策の後押しが相乗効果を生み、雪崩のように創エネ住宅の普及につながったと思われます。
なんといっても固定価格買取制度の導入は大きく、システム価格が低くなってきたこととこの制度によって、10~15年程度で設備投資の回収が可能になりました。
ただし、確実に回収するためにはユーザー側の太陽光発電に対する関心や意識の高さも必要なことはいうまでもありませんが。

右肩上がりが続く太陽光発電市場ですが、これまで普及を支えてきた政策の要素、補助金の減額と固定価格買取価格の見直しの影響が、メーカーや販売者の努力で最小限に抑えられるかとどうかも注目されます。