2012年7月に固定価格買取制度がスタートし、太陽光発電の導入が急速に進んでいます。
広い遊休地等へのメガソーラーの整備計画が進む中で、今後、更なる普及を図るためには、事業所等における1000kW未満の発電事業が促進されることが必要となります。

また、太陽光発電の普及拡大については、初期投資不要の「屋根貸し」による設置が新たなビジネスモデルとして期待されていますが、事業所等の民間施設は、倒産などにより発電事業が継続不能となるリスクがあります。

この点について、東京都や神奈川県などで構成される九都県市首脳会議は、11月26日、「事業所等への太陽光発電設備の導入促進について」という要請を国に対して行いました。

今回、同会議が行った要請は次の2点となっています。
1. 規模が異なっても同程度の利潤が得られるように、特に数十kW程度の設備について、事業採算性に応じた買取区分と買取価格を設定すること。
また、買取価格の算定は、土地の賃借料や造成費用、屋根の賃借料等が増加傾向にあることを十分考慮すること。

2.貸主の倒産などのリスクに対応するなど、「屋根貸し」太陽光発電事業の継続性を確保するために、屋根のみを対象とした賃借権の登記制度を整備するなど、第三者に対抗するための法整備を行うこと。
それまでの間は、建物が処分されて損害が発生した場合に、それを補填する取組の一つとして、例えば業界団体の会員が負担金を拠出し、損害を受けた事業者に互助会的に補填することなど、こうした制度を整備するために、国がイニシアティブをとるとともに、財政的支援を行うこと。

民間の1000kW未満の発電事業については、地域貢献も重要ですが、事業の採算が合わなくてはどうしようもありません。
これには買取価格が鍵になっているので、要請の主旨は理解できますが、買取価格の維持をユーザー負担でまかなっている現状ではそのバランスがなかなか難しいところです。

太陽光発電事業には、事業者の倒産リスクのほか、貸主の倒産リスクもありますが、この度の要請では貸主の倒産リスクについて触れています。
屋根貸し事業は20年という長期間に渡る事業なので、様々なトラブルが社会問題化する前の法整備が必須となっています。